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北京ヴァイオリン

友人に勧められて、「北京ヴァイオリン」をDVDで観た。「なにもコメントしません。泣けるよ」という紹介の通り、この映画は、透き通っていてきれいで、そして泣ける。昔見た「菊次郎の夏」ぐらい、胸をうつ。

成功とは、親子の絆とは、音楽とは、ひとの歓びとは、ひととして無くしてはならないものとは、・・・2002年の中国といえば経済発展にわく、活気あふれる成功の街だったに違いないだろう。そしてそこに、忘れられた「田舎」を重ね合わせる。チェン・カンコー監督がいろいろなことを考えながら、この作品を仕上げたことがよく伝わる。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、またいい。五番だったろうか、いちばん最初の彼女の十八番だった。チャイコフスキーは「白鳥の湖」をはじめ、バレエ音楽もたくさん残していて、そのせいか時々聴くのが辛くなる。思い出が多すぎるのだろう。封印。映画では、そんな個人の感傷などおかまいなし。感情的な旋律のチャイコフスキーが、頬を伝う涙を誘う。ああ、いい映画だよね。もう一度観ようかな。

特に芸術家は、昔からスポンサーがいるからこそ、その生計が成り立っていた。自分の持つ技術や技能で、生計を立てるといっても、そこには人間の感情を読む、豊かな感性があって、そのセンスが開花される。それゆえに誰にでもなれる商売では決してない。努力と才能がそろって、初めて認められる。
いわゆる専門職業家が、どこまで似通っているのかわからないが、お客さんのこころをつかんでなんぼ、であることは同じかもしれない。
「なによ、偉そうに!」となんども登場人物が立場を変え、相手を変え、捨て台詞を発するが、この言葉こそが資本主義という競争社会で生きていくために、誰もが直面する「嫉妬」であり「やきもち」であり「僻み」の現れなのかもしれない。もし競争などない平等な社会があるのなら、偉そうにする必要がないし、第一「権威」が存在しないのだろうから。
成功することは、認められること、認められることは、たくさんお金を稼ぐことができること、お金をたくさん稼ぐことに最も近いのは、才能でも努力でもなく、そのレールにきちんと乗ること。主人公の父親がしたことは、昨日テレビでたまたま観た、松下幸之助の成功物語とは全く様相を異にしている。
すでに日本も中国も、いや世界のあちこちで、「あきらめ」が蔓延している。機会の不均等に対する不満がくすぶっている。オバマ大統領の言う機会均等の国アメリカでさえ、職のある人と職を失う人の格差が広がっている。そろそろ「価値観見直し」の時期なんじゃありませんか?

バブル世代の私が言うことじゃありませんが、そんな感想を抱きました。

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